国際放送・自由バーラジアの声(The Voice of Free Barrasia)

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分裂勢力、無条件降伏 国民軍がサイフォンに無血入城<V.C.32年10月394期>

分裂勢力、無条件降伏 国民軍がサイフォンに無血入城


 暫定和平のもとで、サイフォンは不気味なまでの静けさを保っていた。サイフォンにしては珍しい霧雨が全国家主席官邸の濃緑の芝生を静かに濡らしていたバーラジア標準時10月381期未明、青と白の2色地に星のバーラジア国旗をなびかせたType25-ROBAM装甲車が5台、そのキャタピラの音を響かせ、芝生を踏み拉きながら突き進んできた。装甲車の後部ドアから一気に吐き出された国民軍陸軍第501特殊戦旅団の戦闘員は官邸の階段をかけ上り、3階のバルコニーからバーラジア国旗を振った。北部分裂勢力、いわゆる「バーラジア民主共和国」が消滅し、祖国統一という民族の悲願が達成された歴史的瞬間だった。

(写真=サイフォンの警備にあたる国民軍兵士。ウィルバー製S-16自動小銃を携行している。後ろは国家主席官邸に突入した装甲車が踏み潰し、燃え上がる自動車)


【死と流血避けたい 分裂勢力が降伏宣言】 
 これ以上の死と流血を避けたいとする分裂勢力の降伏宣言がテレビ、ラジオを通じて全土に伝えられたこともあり、我が軍のサイフォン制圧は極めて平和裏に進んだ。まさに無血入城と言えるものだった。同勢力の治安部隊と我が軍との間で多少の小競り合いがあったものの、降伏宣言を前に同勢力人民軍の守備部隊は白旗を掲げて投降した。各地でも同様に人民軍の投降と武装解除が進んでいる。


【レイリル戦略空軍の北爆と国民軍の包囲が奏功】
 今回の解放戦争は、一気に北進した我が軍とレイリル戦略空軍による猛烈な北爆とで早期に決着がつくものと見られていたが、人民軍と解放戦線によるゲリラ戦や中秋節の休戦期間を狙った大規模攻勢などにより、戦況は一時泥沼化。鼠算式に増えて行く死傷者を前に、分裂勢力とそれを支援する北リルバーンとの暫定和平を余儀なくされた。しかし最終的には、間断なく分裂勢力の占領地域に500ポンド爆弾と油脂焼夷弾の雨を降らせ、機甲部隊でサイフォンを包囲した我々の圧倒的物量が彼らを屈服させた。


【グエン・チー・ニョら分裂勢力首魁は特別法廷へ】
 全国家主席官邸に突入した第501特殊戦旅団のタン准将は、同官邸内で分裂勢力の閣僚級要人や参謀など複数名を拘束したと発表した。また、戦闘艦艇に自ら座乗し南ロンイエン海沖で示威行動の陣頭指揮を執っていたグエン・チー・ニョ全国家主席も、撤退先の人民軍の海軍基地内で拘束された。これら分裂勢力の首魁は、近く開かれる特別法廷で然るべき裁きを受ける見通しだ。


【北部バーラジア特別軍政区設置法が成立】
 分裂勢力の全面降伏とサイフォン制圧を受け、国家自由発展評議会では北部バーラジア特別軍政区設置法が成立した。北バーラジアには国民軍北部軍管区司令部のもとで、自由と民主の原則に則った一定の自治権が与えられ、段階的に本国への編入が図られる。


【主要都市への戒厳令解除 市民生活に平穏戻る】
 解放戦争の開始と同時にディエンカイやヴィンホアなどの主要都市に発令されていた戒厳令が、本日を以て解除された。街路からは機関銃座や土嚢などの物々しい備えが撤去され、行商人とスクーターが行き交う平穏な市民生活が戻った。ディエンカイの旧市街で鳥粥の屋台を営むノン・ソン・ニェットさん(男性,58歳)は「この街に活気が戻り、南と北なんていう隔たりが無くなってこれほど嬉しいことはない」と統一の喜びを語った。